先祖返り通信
2001年8月号 其の弐

 会員の皆さん、夏風邪などひいていませんか。7月の猛暑・小雨には、畑の作物も私もうんざりしてしまいました。日本はいつの間にか亜熱帯になっているそうです。異常気象が異状でない年が続いていますね。百姓一年生には少々つらい夏になっています。

 突然の気象の変化に対応するため、収穫物をおいておく場所を確保する為などの理由で8月より、畑の近くの上記の場所に引っ越し、一人暮らしをはじめました。当然、今までの畑仕事の他に家事もこなさねばならず、予想はしていましたが、目の回る寸前の忙しさになっています。母のありがたみを改めて感じています。そして、一人暮らしの静けさと寂しさの中、お嫁さんの必要性も今まで以上にひしひしと感じている今日この頃です。

「錬金術」

 畑の作物たちは当然のことですが少しずつ成長していきます。人間の子どもが少しずつ大きくなっていくように、ほとんどの野菜は人間で言う思春期くらいまでの未熟な頃に食卓に登場します。その頃が皮も身も柔らかく、人間にとって美味しいからです。スーパーなどに並ぶのは、この美味しい時期のみの野菜たちです。

 しかし、コバちゃん農場の場合はちと違います。間引き菜など思春期にはいる前の野菜や熟年、時には老齢記の野菜たちがセットに入ることがあります。届いた野菜を見て、畑の状況を皆さんに知って欲しいのです。大根の場合、間引きの葉大根に始まり、みずみずしい大根が続き、少し痛んだり、固かったりする大根で、大根が終わると言った具合に。

 何故そのようにするかというと、「食べ物」としての命がある野菜を畑で捨ててしまうのに疑問を感じるからです。作物を育てる過程で、作物と作物との距離を適正に取るため、作物の生育に合わせて、込み入っている部分をおろ抜く(間引く)作業があります。この時出る間引き菜は、一般農家では、自家用に食べる分を除いて、そのほとんどが畑で捨てられています。余りにも幼いため、流通に乗る前に痛みが出やすいと言う理由で。私の所では、当日と前日の間引き収穫分をセットに入れ、お届けするので痛む前に食べてもらえます。

 雨が少なく肥料が効かない、虫に食われる等の悪条件の時や、収穫終盤の頃になると、野菜たちは子孫(種子)を残すためにエネルギー(実の部分の栄養)を使い出します。こうなると見てくれが悪くなったり、皮が固くなったりします。それでも私が試食して、「まだ食べれるな(野菜として命があるな)」と感じるうちは、セットの中に入れていこうと思います。しかし、なるべく生きのいい野菜たちだけで瀬戸を作れるように、同じ野菜でもいくつかの品種を作ったり、早稲種と晩生種を組み合わせたり、種をまく時期を何回かに分けたりしています。それでも、今年のような暑さ、小雨では、後から蒔いたものが前のものに追いついてしまったりして、老化が早まったりと思うようになりません。

この様に、天気のせいもあるのですが、やはり、百姓としての私の経験のなさが一番の原因です。毎日のように、ああすれば良かったと反省点が出てきます。畑の土同様、私も少しずつ良くなっていかなければと思います。長い目で見ていただければ幸いです。

そして生きの良い野菜は、シンプルに食べていただければ良いのですが、状態の悪い野菜の時は、悪くなっている部分を除いたりして、捨てずに細かく刻んだり、つぶしたりして残りの命を生かせるように手を加えてあげて下さい。お願い致します。

 今の時代、時間がない、面倒くさい、調理方法が解らないなどで、「お袋の味」がチンとすぐできる「袋の味」に変わっていると言います。見せかけの命を作るために加工食品の中に使われている多くの添加物、細胞を揺らす摩擦熱で食べ物を暖める電子レンジと電磁波。すぐに病気として現れるわけではありませんが、その繰り返し、蓄積が恐ろしいのではないでしょうか。私の子ども時代も加工食品を食べましたが、母が手をかけて作ってくれた料理やおやつは、やはり今でも思い出し、食べたいと思うのです。

セットの量について

 この一月のセットの量は、多いと感じられる方が多いと思います。私も確かに多いと思いながらセットを作りました。そうなった理由は、畑の広さから一年目の夏の会員数目標を設定して(20名)、夏の作付をしましたが、会員数が目標の半数くらいにしか届かず、夏野菜が穫れすぎてしまっています。

余剰分は、直売所で売ったり、宣伝用に配ったりしています。それでも余ってしまい、その結果、会員の皆様へナス、キュウリ、ピーマン、トマトなどの夏野菜は、常に上限の数でお届けしていました。通常、穫れはじめと終盤は数が少なくなるものですが、一定していると思います。目標通りの会員を確保できていれば、いつも届いていた量の7割くらいが通常量と考えていただければ良いかと思います。

 今後も、会員数アップのための宣伝・営業もしていきますが、畑での作業が目白押しで宣伝活動に十分な時間を割けずにいます。しかし、できた野菜を定期的に食べてもらえる会員を増やすことができなければ、収穫物が無駄になるばかりか、当然、私の生活も立ちいかなくなります。誠の勝手なお願いですが、会員の皆さんの中で、セットの量が多く食べきれない場合、余剰野菜をお知り合いの方にお分け、宣伝していただければ幸いです。お願いします。


今月の先祖返り

 今年のニガウリは、大きくなるに前に赤くなってしまうのが多かった。原因は水不足、肥料不足、密植による日光不足が考えられる。近所のおばさんが教えてくれた。「昔は、赤くなったニガウリの種をおやつに食べたもんだ。」と。早速、畑でぬるぬるした赤くはぜた種を頬ばってみた。上品な甘さが口に拡がった。しかし、すぐに消えてしまった。

 マクワウリも昔のメロンだ。でも、甘くないと評判だ。きっと昔の人には十分に甘かったのだろう。現代人は、ジュースにケーキなど甘いもの刺激の強いものに慣れすぎてしまっている。どっちの甘さが体にやさしいのだろう。


後記

 雄心発行の目標は、毎月初め。今月は引っ越し、種まきが重なり忙しかったのもあるが、私の遅筆が最大の原因。書きたいテーマはいっぱいあるのですが、考えがなかなかまとまらない。そして、来月からは手書きでの発行を考えています。できるかな?

 この頃、畑を見学に来る人や手伝いに来てくれる人がチラホラ。ありがたいことです。畑を無償で貸して下さる地主さん、相場の半分以下で貸してくれた家主さん、機会や農具を貸してくれる舘野さん、高橋さん。そして、美味しいばかりでない私の野菜を食べてくれている会員さん。

心のこもった励ましの手紙、電話をくれた友人、恩師。そして、少しずつでも、お返ししていきたい。より良い命ある野菜を作り続けることで。

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