2001年12月号 其の六
11月半ば、ここらでも初霜とシシ座流星群が降り、早朝の作業では、足先がビンビン痺れるようになりました。 葉物類などの畑の作物の生育もゆっくりになりました。
今は冬本番に備え、野菜たちを守る冬支度の作業をしています。
畑からの国際協力 オイラは、百姓になる前の5年間、海外での国際協力の活動をしていた。専門分野はスポーツ。帰国後の進路は国際協力の分野に残るか、関心のある環境もしくは福祉分野での仕事を見つけようかとも思った。 考えた末に出てきた答えが有機農業の百姓。???
オイラの中では国際協力、環境、福祉、いずれの分野にも深くかかわりうる仕事が百姓である。 今回は百姓と国際協力にスポットを当ててみよう。
国際協力でイメージするものは、海外の開発途上国で技術を教えたり、義援活動等をしたりすることだろう。 オイラもそんな国際協力を微力ながら5年間やった。その後日本で暮らしてみて、期限付きの国際協力を海外でするよりも、地球規模でより意義のある協力は、日本の中でするべきことだと思うようになった。エネルギー自給が1割以下の日本が、鉱物資源をほとんど持たない日本が「経済発展」、「便利快適」のため、まるで無尽蔵のものであるかのごとく、大量のエネルギーを消費し、大量生産、大量廃棄を繰り返している。 食糧自給率が4割以下の日本が飽食の限りを尽くした上に、大量の食べ残しをしている。 なんで、そんなことできるの? そりゃ、日本の大量のエネルギー、食糧浪費の陰に、エネルギー不足、食糧難の国があるから帳尻が合っているのでしょう。 その国々とは、日本が「国際協力」に出向いている国々に他ならない。
オイラのいた中米のニカラグァは、かつて緑の多い楽園だった。しかし、今では毎年のように太平洋側は旱魃、カリブ海側は洪水。 その裏には先進国の利潤のための太平洋側での綿花などの連作、カリブ海側の熱帯雨林の乱伐、輸出による土壌の変質以外にも、先進国主義の地球温暖化、 エルニーニョ現象などの異常気象の影響もある。 また、昨今話題のアフガニスタンは、人参の原産地だ。人参は生育初期に乾燥にあうと人参にならない。 今のアフガンでは3年間雨がないという。アフガンのことはよく知らないが、ニカラグァ同様だろうと想像はつく。 両国ともに大国の利害関係から長年内戦に苦しめられてきた。内戦とは、兄弟身内同士で殺しあうことだ。
食べ物を海外から輸入するということは、海外から土と水をも輸入していることになる。 ましてやより多くの利益をあげるために無理して(させて)、作物を作れば、尚更耕地は疲れる。 疲れ果てたら、次の土地を探せば良い?旺盛な日本人の食欲を満たすために。
そのようにさせた途上国にお金や技術を分け与えるよりも、日本人の足元を見つめ直して、日常生活で抑制できる部分を抑える。 浪費しすぎないで我慢するようにすることの方が、より大きな国際貢献、協力につながると思う。 そんな考えから、野菜を育み、食べてもらっている。 痛んだ部分のある野菜でも、その他の部分が食べられれば、畑で捨てずに食べてもらう。 もちろん、壮健な野菜をつくる努力は惜しまない。また、野菜を商品だと考えない。 あくまでも、食べ物としてとらえる。消費する側もそこを受け入れられれば、現状の自給率4割が6割にも7割にもなるだろうし、近くで作ったものを近くで消費すれば、移動にかかるエネルギーや環境負荷も小さくなる。
ものや命の循環を大切にする有機農業による百姓の営みを消費者共々実践し続け、日本人の生活水準を昔に戻していく努力をすることが、 大きな国際協力につながり、ひいては日本の将来に安定をもたらすものと信じている。
泥付き野菜について 現在のセットに入れている野菜、特に葉物、芋類は、根や泥の着いた状態で届いています。 その一番の理由は鮮度維持。以前に野菜の保存方法で、できるだけ畑にいた状態で保存するのが良い、と書きました。 作物は、根や葉から養分を吸い、特に根回りには、作物の生命維持、特に大切な役割をしている微生物が多く存在します。 収穫時に簡単に泥と黄ばんだ葉を落としていますが、根を切ったり、完全に洗い流すと、切られた部分から痛んだり、葉部分での養分の消耗が多くなり、鮮度(野菜の命)が落ちるスピードが増します。 また収穫後、水につけて瑞々しさを取り戻せるのは、一度だけです。 加えて、なるべく食べ物全体の姿を摂ることで、体のバランスがとれるという一物全体食の考えから、できるだけ根付きでのお届けになっています。
しかし、台所で土を落とすと排水溝の詰まりの原因になったり、屋内が汚れるなどのマイナス面もあります。 何か良い方法はないでしょうか?
今後出るであろう野菜たち
長ネギ 匂いのもとの硫化アリルという成分は、エネルギー代謝に必要なビタミンB1の吸収効率を良くします。体を温める作用もあるので、風邪のひきはじめに、刻みネギと生姜と味噌を熱湯で溶いたネギ湯を飲むと楽になります。青い葉には、Aが豊富に含まれます。 ゴボウ 日本でのみ食べられる根野菜。大腸がんの予防効果のある食物繊維リグニンを多く含む。 独特の風味は皮付近に集中しているので、土を洗い流す程度に。おろしたゴボウをネギ湯同様にして飲むと、風邪はもちろん、体内にたまった毒素を流す効果も。 大根 今後は白首大根や聖護院大根も。春の七草のすずしろは大根のこと。薄くスライスして京都の千枚漬けに挑戦しては。 みぶ菜 大株の水菜の一種。鍋ものの他に、浅漬けなどの漬物に。漬けたものを刻んで、炊きたてのごはんに混ぜても美味しい。 白菜 クセがないので、鍋、炒めもの、漬もの、サラダなど何にでもあいます。これも寒くなる程に甘みが増してきます。 芽キャベツ ビタミンCやカリウムなどはキャベツより高い栄養野菜。茎からはずした後、中まで火が通るように底に十字の切込を入れてから煮込みやサラダ(茹でてから)に使うと良い。 タアサイ 緑の座布団を広げたような野菜。ほうれん草もそうだけど、寒くなると大地にロゼット状に広がり、寒さから身を守る。脂溶性のAを多く含むので、油炒めが効果的。 八つ頭 末広がりの八と、人の頭(かしら)に立つ、という縁起ものですので、おせち料理にお使い下さい。泥つきのまま、冷暗所においておけば日もちします。年末最後にお届けする予定です。
今月の先祖帰り 日に日に寒さが増してきました。朝起きた時の室温が5℃を下回る日も。そんな中でも、まだ暖房を使っていません。寒い外で働く時間が長いので、体調管理を考え、室内と外との環境を近づけた方が良い、というのが一番の理由。暖房器具の代わりに、服を重ね着したり、体の温まる食べものを食べることで、寒さをしのいでいます。 その成果か、風邪など体調を崩すことなく過ごせています。確かに、最初のうちは寒さの中で暮らすことはストレスになったけど、慣れてしまえば、体調は良いし、苦にならなくなります。
夏でも冬でも室内はエアコンで一定温度で快適にし、わざわざお金をかけて体調を崩していたのが、今では可笑しい位です。冬は寒く、夏は暑いものです。それを体で味わってこそ、春や秋の気候に心和むことができるのではないでしょうか。とはいっても、来客用のストーブは用意してありますので、恐れることなく我が家にもお寄り下さい。
後記 港は、師走で慌しくなってきますが、畑での作業は、冬場は少し楽になります。 この期間に読みたい本を読んだり、心身ともに来春に向け、しっかり充電したいと思います。
7月から旬野菜セットを出し始めて半年。本当に多くの方々のご支援を頂き、心より感謝しております。有機農業をするには、未熟な百姓一年坊と土からできる野菜を食べ続けてくれた会員の方々には、本当に有り難く思っています。来年は、今年より少しでも進歩することが、恩返しになるかと思います。そこで、皆さんにアンケートをお願いしようかと思います。
いつも、私の方から一方的なお願いばかりしていますが、会員の皆さんと長くおつきあいさせてもらうためには、受け取る側の正直な考えを知ることが不可欠です。お忙しい中、大変恐縮ですが、どうぞ率直なご意見をお聞かせ下さい。お願いします。
それと、正月休みを取らせて下さい。年末は28日(金)を最後の発送、配送とし、新年は4日(金)からお届けしようと思います。隔週などの不定期会員の方への配送始めは、こちらで調整させてもらいます。尚、協賛会員の方々の冬野菜セットは、お正月用に年末の23日から28日に発送する予定ですので、ご都合の悪い方はご連絡下さい。
では、皆さん、くれぐれもお体に気をつけて、良い年末年始をお迎え下さい。最後になりましたが、本年は本当にありがとうございました。そして、来年も宜しくお願い致します。
コバ
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