先祖返り通信
2002年 新年号 其の七

 新年明けましておめでとうございます。旧年中は大変お世話になりました。昨年、百姓としてのスタートを切り、やっと夢の入口に立つことができました。とてもとても思うようには進みませんが、会員や周囲の方々の支えのお陰で、刺激的な日々を過ごせています。
 本年も「先祖返りを目指すコバちゃん農場」を宜しくご支援お願いします。私も皆さんの食卓に安全な野菜たちをコンスタントに供給できるように引き続き精進します。

初夢

 毎週届ける野菜セットも50を越え、畑の広さも1町歩(3千坪)になった。自家採種を続けてきたことで、自分の畑に適合した野菜たちが、雑草に負けず、元気に育っている。野菜の他に自給に欠かせない水田も今では5反(千五百坪)に増えた。そして、卵と肉と肥料を与えてくれ、クズ野菜や雑草を堆肥にしてくれる200羽の鶏たちも大地の上で忙しく何かをついばんでいる。

 農場での協力者が増えたことで、エンジン付きの機械に頼らない農業ができるようになった。週末になると先祖返り会員が地元から、時には泊りがけで遠くからも農場に来て、作業を手伝ってくれる。オイラは、必要な作業を黒板に書いておくだけ。堂に入ったベテラン会員が、まだ慣れぬ新入り会員に手ほどきをしてくれる。平日には、外で仕事することが好きだが、障害を持ってしまった人たちが、自分にできる作業をみつけては、汗を流してくれる。その作業指導は、地域の農家のお年寄りたち。そして、忘れてはならない協力者がオイラの愛しい家族たち。モミジのような手のJrは、手伝っているのか邪魔をしてるのか。家族の存在がオイラの何よりの原動力になってきた。

 手伝ってくれたお礼に、手作りの地域内通貨、ユーロならぬコーバを渡す。その通貨で農場や地域の協賛店で買い物ができたり、会員が不用品を持ち寄って定期的に開く青空市でも使うことができる。

 この頃すこしずつ、ベテラン会員が新しい会員を置き土産に農場を離れ、自分で田畑を借り、自給作物を作るようになった。また、全くの素人から始めたオイラの農場経営が成り立っているいることに勇気を得た非農家の新規就農者や農家を継ぐ青年も増えてきた。遊休地が減り、後継者不足に心を痛める農家のお年寄りたちに笑顔が戻る。そして、少しずつ田畑や地域の商店街に活気が戻ってきた。地域も新規就農者を支えるため、学校給食の食材に彼らの作物を使うようになる。農薬を使わない健全な食べ物を食べ、時には、農作業を手伝うことで、次世代を担う子供たちにも生き生きとした笑顔と失われた農業への希望が再び芽吹く......。

 嗚呼、有機農業はモノばかりでなく、命や希望の循環でもあるんだなあ。百姓になって良かった。うん、本当に良かった......。

こなん初夢がみれたらいいな。
You may say I'm a dreamer....(栃木のジョン・レノン)


今後出るであろう野菜たち

 秋にまいた作物で、これから特に新顔は出てこないでしょう。晩秋にまいた葉物類など、この寒さでほとんど生育しておらず、寒さ除けをした野菜たちもどこまで我慢できるか心配です。でも野菜たちは、外で寒さに当たって甘くなるんですよ。それは、自分が完全に凍らないための自衛手段として、体内の糖度を上げるのです。砂糖水は凍りにくいでしょ。しかし、凍る、溶けるを繰り返している部分から痛みやすいのも事実です。今後、著しく品目が減るような場合は、保存食が入ってくるかもしれません。そのラインナップは、

切干大根 水に戻してから油揚げなどと炒め煮にする定番の他、戻した後、しょうゆ、酢、ハチミツ、生姜、ワカメ(昆布)で、ハリハリ漬け風にしても美味。
切干人参 切干大根に混ぜて色取りが良くなります。
干しズイキ
(芋茎)
生のズイキの時のような強烈なアクを気にすることはありません。水に戻してから、汁物や、ごま和えなどにして。
干葉 大根葉を半日陰で干したもの。戻してから汁に入れても良いし、入浴剤として使えば、体の芯から温まります。
ポップコーン 秋に出す機会がなく、軒先にぶら下がったまま。何本か試食したら、半分位しか爆ぜませんでしたが、美味しかったですよ。実をはずして、ふたをしたフライパンに油をひき、塩をひとつまみ入れ、強火で揺らしながら爆ぜるのを待ちます。

今月の先祖帰り

 1月3日の仕事始めの日に、お借りしている4枚の畑で「鍬入れ」なることをしました。畑で作業をする前に、塩をお米とお酒を畑の一隅に供え、一年の安全と豊作を祈り、鍬を3回畑に入れます。いつもお世話になっている舘野さんのお父さんとお母さんが教えてくれました。このおじさんとおばさんをはじめとする地域の年配の方々は、私の農業の先生であり、また先祖返りを目指す私には、なくてはならない存在です。

 昔の農業は、今のように田畑をただ作物を奪い取る場所としてとらえず、その中に、神を、魔をみて、敬っていたのでしょう。一年の区切りにこういった儀式をすることで、気持ちも引き締まり、また、田畑は、私たちの体をつくる食べ物を産み出す神聖な場所なんだ、ということを改めて思わずにはおれませんでした。


後記

 新年号は、私の夢について書かせてもらいました。まだひとつも実現できていませんが、全然現実味のない夢ではないと考えています。何年後にどこまで到達できるか定かではありませんが、今年はその足固めの年にできたらと思います。そのためにも、会員の皆さんの忌憚のないご意見と、農場への参加を心よりお待ちしております。尚、年末にお願いしたアンケートも半分位回収できました。興味深い回答も多く、集計するのに締切を延長しますので、まだご返信頂いていない方も、是非ご回答下さいますようお願い致します。
来月号位から、アンケート結果に対する報告を始められたらと思います。

 今後も、「食」や「農」に関し、引き続き勉強し、畑で感じたことを併せて、この通信や直接皆さんにお会いする時に伝えていけたらと思います。
では、今年も宜しくお願いします。

コバ
2002年 正月
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