2002年2月号 其の八
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年末年始はとても寒く、松がとれる頃には、4月並の暖かな日が続いたり、冬の雷が鳴ったり、そして又、冷え込み。百姓になってから、天候が気になります。畑での野菜たちの状態をみても、この時期の一時的な暖かさにとろけや腐れの目立つキャベツが出始めたりと、困惑気味。私の小さい時からこんな天気だったかな。東京での幼年期、冬になると雪だるまやかまくらをひと冬に一回はつくって遊んだ記憶があるのですが。何でも地球温暖化に結び付けるのは強引かもしれないけど、何か変な気がします。
食の値段 市場出荷をする日本の大半の農家は、自分の作物を自分で値段をつけることができない。市場が値をつける。今、野菜や米をはじめとする食物の市場価格が全般的に安い。なら、種や肥料や農業機械等の必要経費の値段も安くなる、ことはない。
一般企業は、自社製品に対し諸経費を計算し、利益を生むように企業が生き続けられるような販売価格を自分たちで設定する。農家も農業を続けられるように自分たちで値段をつけることはできる。そうしたら自ら作物を売らなければならない。もしくは、市場の値が高い時(旬以外の時期)に出荷できるよう、ビニールハウスなどで温度を調整したり、作業効率を上げるために単品作物に絞るなどの様々な工夫をして、利益を確保しようとする。
さて、我がコバちゃん農場は?畑には旬のものしかないので、市場出荷では絶望的。多品目野菜を作っているので、作業効率も悪い。そんな中でも今のスタイルで百姓を続けるため、皮算用する。生活費を含め、赤字にならない目標収入を決め、諸経費を見積もり、現在の畑の広さと、現労力でまかなえる旬の野菜セットの数を考える。そこから出てきたものが、現在のセット料金。そこには市場の動向は反映されない。あくまでもオイラが百姓を続けるための自分勝手な料金設定。スーパーなどで売られている一般的野菜よりはもちろん、大手の有機野菜の宅配業者の値段に比べれば、やはり高いでしょう。オイラもつい最近まで消費者側の身にいたからわかる。一転、生産者側にもなった今、高いとは、とても思えない。
多品目の野菜たちと年間つき合っていくには、日があるうちは畑で働き、家に帰ってからも加工や通信書き、経理などの事務仕事もある。日曜祭日も関係なく、休みはない。雨の日でもやることはいくらでもあり、晴耕雨読なんかできない。暑い、寒いも関係なし。そんな暮らしの報酬が現状の規模で最大4〜500万円也。そこから諸経費が引かれる。このスタイルを続ける限り、昇給もない。
愚痴を言っているのではない。現実の一部分を言っているだけ。オイラは、百姓で儲けて、でっかい家を建てたり、高級車に乗ったり、などという希望はない。でも百姓を続けて、家族をもてる暮らしがしたいだけ。実際、百姓仕事は楽しくもある。大地の上でむき身で働いていると、いろいろのことを考えさせられ、感じさせてくれる。また自分の創意工夫が良くも悪くも結果として出てくるし、栽培のことばかりでなく、料理や食、健康のことなど勉強したいことが、次から次へと出てくる。なにより、日々の食卓の自給度合いを見て嬉しくなる。そんな楽しくて、前号に書いた多くの夢や可能性を秘めた有機農業を続けていきたい。
一方で、日本の商社や政治家たちは「消費者、国民のニーズに応えるため」という大義名分の下、農の現場を賃金の安い海外に求め、現地の状況などお構いなしに、少しでも安い農産物を日本へ輸入する。そこで日本の百姓たちも、これに負けじと規模を広げたり、作物を絞り、機械化したりして効率を上げ、コストを下げる努力をする。しかし、同じ土俵で勝負をしたら、規模、労賃で海外からの輸入作物にかなわない。そんな不毛な競争の中、日本の農業に魅力がなくなり、日本人の農業離れが着実に進行する。
そこまでわかっていても、オイラは時代の流れに逆行する。それは、今の流れがよどんでおり、このままだと下流には、恐ろしげなものが確実に口を開けて待っているように思うから。オイラのような自給の延長の昔ながらの農業スタイルは、いろいろな作物を作り回すことで野菜たちの母である土への負担をできるだけ少なくできる。農薬や化学肥料など命の基盤である体への負担を少なくする、などの長所がある。しかし、現在の農法に比べると効率が悪いことから、どうしても割高になる。それは、野菜ばかりでなく、比べられる対象の一般の食物が安すぎるからではないか。消費者のニーズに応えるため、資本主義の原則である競争を続けるため、命の元である食べ物が、いつの間にか商品になってしまった。
「食」という字は、「人を良くする」と書く。漢字が生まれた頃の食べものは、きっとそうだったのだろう。しかし、今では食べ物の中に狂牛病やアトピーなどの様々な現代病の原因物質が含まれるようになってしまった。狂牛病ひとつとってみても、危険性がわかっていたのに、肉骨紛の輸入を黙認していた国が、それを使った生産者が悪い?確かに彼らも悪いのかもしれない。でも280円の牛丼を喜んで食べている、安い食べ物を求めている消費者の責任は問われないのか(そういうオイラもちょっと前まで牛丼に卵をつけるのが、最高の幸せだった)。牛が生まれてから出荷されるまでの時間が短いほど利益は上がる。生産効率を上げるため、安売り競争の中で利益を確保するため、また畜産廃棄物の処理のためにも肉骨紛は使われた。
オイラたちの体、命からは生まれる次の命を創る源である食べ物に安さを求め、買いたいもの欲しいものは一体なんだろう。「人を良くする」食べ物をつくる人は、消費者につくられるという側面もあると思う。「有機農業じゃ、食えない」とよく言われる。確かにオイラと同じスタイルで百姓になったが、割高の作物を売れず、赤字続きで廃業した先達も多い。目先の便利をくれる新商品より、何世代も後の兄弟たちの健康や幸せのための「食べもの」を作らせてほしい。
(栃木のドン・キホーテ)
今後出る出あろう野菜たち 先月同様、今月も特に目新しい野菜はないでしょう。今月はアンケートで不評の多かった野菜たちを取り上げます。
大根 中が空洞だったり、スカスカのス入りだったりする→これは正直私も困っています。
白首大根に多いようなのですが、収穫時にス入りのわかる品種とわからない品種があります。
今後はよほど大丈夫そうなもの以外、切ってからセットに入れるようにします。カボチャ 水分が多くベチャベチャ→カボチャは比較的上手くできた方なのですが、中にはベチャ系が入ることも。もし、それに当たってしまったら、栗カボチャのように煮汁をとばさないで、煮汁を多目に柔らかく煮ふくめる様に煮るか、切ってから日に干し、水分を少しとばしてから使ってみて下さい。又、焼カボチャにしても良いでしょう。 ホウレン草 量が少ない→肥料が少なかったか、播いた時期が遅かったか、ほうれん草をはじめとする葉物類の成育が良くありません。セットに入る頻度は少なくなりますが、入れる時はある程度の量になるようにします。不足分は白菜や水菜などの大物菜類で代用していて下さい。
ここでお願いがあります。もし不満のある野菜がセットの中に入っていても簡単に捨てずに、使い道を考えてみて下さい。例えばス入り大根は桂むきにして、使える所を料理したり、おろしにしたりと「食べ物」として生かしようがあります。直接届けている会員の方には、会って説明ができるのですが、宅急便会員の方には説明不足になりがちです。以前紹介した産直野菜の使い方の本『野菜はともだち』(農文協)や、お近くの年配の方など、達人に聞いてみて下さい。もちろん私にご連絡頂いても結構です。
より美味しく健全な野菜たちだけをお届けしたいのですが、なかなか100点満点とはいきません。経験の未熟さもありますが、健全な土づくりにも時間を要します。もちろんそれらの未熟さに甘えるつもりはありませんが、ある程度長い目で見て頂ければ幸いです。
年によって、失敗する野菜もあるでしょうが、毎年少しずつでも美味しくなっていくよう誠実に努力を続けます。そして、今後も状態の悪い野菜が入っていたら、遠慮なく言って下さい。改善点を見つけることが、出発点ですので。
後記 アンケートにお答え頂いた会員の方々、貴重なご意見ありがとうございました。まだの方もできましたらこれからでもお願いします。皆さんに正直に書いてもらい、本当にいろいろ考えさせられることがあり、今回それを受けて書いてみたのですが、如何でしたか?
未熟者ゆえ、うまく表現できない部分、書くにためらう部分など多々ありましたが、私なりに正直に、誠実に書いてみました。良いと思って書いていることですが、「絶対」とは考えていません。ご意見お聞かせ下さい。以前にも書きましたが、私は会員の方々とは野菜の売り買いだけのおつきあいにしたくありません。野菜を媒介にお互い切磋琢磨できたらと考えています。
この通信は本来もっと軽いテーマで、のほほんと書きたいと思っていたのですが、書きたいテーマが尽きるまで、しばらく我慢して下さい。今、昨年の収支を計算している所です。来月報告できたらと思います。今月は(も?)、少々偏った内容になってしまい、すみませんでした。
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