先祖返り通信
2003年月5月号 其の弐拾弐

 新緑がまばゆいばかりにきらめき、突然の夏日の到来に、木陰の涼しさを与えてくれます。先月に企画した野草摘みの集いは残念ながら雨のため中止にしました。また作業の具合をみて、何か企画しようと思いますので、これに懲りずまたお越し下さい。

告白

 先月、農薬を使い、同時に拉致にも関わった。
 3月から5月の植え付けまでナスやピーマンなどの夏野菜の苗を育ててる。育苗中、苗の葉裏に沢山のアブラムシ(ゴキブリではない)がついてしまった。アブラムシは蚊のように葉にくちばしを入れ、作物から汁を吸う。その時様々な病気を感染させることが多い。最初のうちは丹念に手で潰していたが、すさまじい繁殖力の前に、間に合わなくなる。非常にまずい。青ざめながら袋を持ち、以前から目を付けていた場所へ出かける。

 目的地に着くと、逃げあがらう彼らを有無をも言わせず袋に詰め込み、苗の元へ帰る。そして拉致してきた彼らにアブラムシ退治を任せる。彼らは肉食でサンバ好き?背中にそろいの入れ墨をもつ。??また昨年末、彼らは特定農薬とやらにもなった。??
 そう、かれらの俗名は、てんとう虫。発癌性が認められているダイホルタンなどの無登録農薬の使用問題に端を発し、農薬取締法改正案が早々に国会を通過した。珍しく国民の健康に配慮したスピード改正かと思いきや、その中でてんとう虫やカマキリなどの天敵生物が、(特定)農薬になった。??改正検討委員会のメンバーは、その政治力や、いや専門性から農薬会社関連の人が多い。アブラムシなど作物の病害虫の防除には、農薬会社が大金と多大な時間をかけて研究開発し、登録した農薬を使わなければ、それは何であろうと許すべきではない、ということ。
 今までオイラたち新入り百姓の先輩方は、有機無農薬農業で試行錯誤しながら、人体に害のない食酢や焼酢などの食品から、野草、天敵昆虫などを工夫して使って、作物の病害虫に対応してきた。しかし、今回の改正案が通ったことにより、「無農薬」栽培が、法の面からも更に難しくなった。
 少し前にもJAS法の改正による「有機」表示の登録制(登録にはかなりの費用が必要)も施行されていて、違反者には罰金ばかりか、牢屋にも入れられてしまう。ので皆さんチクらないで下さい。おカミは環境保全型農業の推進という美旗を振りながらも、その実多くの無農薬実践農家を締め付けている。吉報がありそうな農薬取締法改正で、何でこちら側が取り締まらねばならぬのか。

 さて、オイラの拉致してきた農薬たちは、食べ物が豊富なゲストハウスに放したのに、隠れる所が少ないためか、アプラムシと仲良しの蟻に攻撃されたからか、こちらのささやかな期待を裏切り、ほとんどが「ブーン」て飛び去ってしまった。こりゃいかんと次は羽のない子供(幼虫)を拉致してくるが、やはり2〜3日したら多くの食べ残しをして、葉の上で丸くなって動かなくなってしまった。サナギマンに変身したのだ。そしてまた「ブーン」。まったくもって道は険しい。

 オイラの都合でてんとう虫を引越しさせることは、居るべき場所から無理強い移されるので、自然の生態系には良いとは言えないのだろうが、安全な(???)登録農薬を使うよりは、ずっと誠実だと思う。国会で何を決めようと、これからも「無農薬」、「有機」という表現は続けていこうと思う。それで塀の中に入るようになれば、良い休養がとれるかも。

(ゴールデンウィークも働き倒した栃木のお疲れさん)


今後出るであろう野菜たち

 小松菜やカブなどの葉菜類など、今年に入ってから種を蒔いた作物がやっと穫れるようになったと思ったら、ここのところの暑さで、今度はでかくなりすぎ、穫り切れそうもありません。セットにも多めに入るかもしれません。またレタス類、大根、キャベツやブロッコリー、きぬさや類なども、ここ数日でグンッと生育してきて、もう少しできつかった春の端境期を抜けられそうです。



今月の先祖返り

 無登録農薬の問題で良いこともありました。各種登録農薬にはそれぞれ適応作物が表示されていて、表示以外の作物に対して使用されると、たとえ農薬としの効用が認められても、それは無登録農薬の使用ということで処罰の対象になります。そのおかげで今年から畑を借りている地主の田んぼへの空中散布がなくなります。それは減反作物として田んぼで作っている大豆などに、稲用の農薬がかかってしまうと減反作物が無登録農薬使用となってしまうからです。私の借りている畑の上には、今までも空散のヘリコプターは通らなかったのですが、それでも空散後に畑へ行くと空気がよどみ、頭がガンガンしたりしたことや、水路に浮かぶザリガニやカエルの死骸を多くみつけることができました。今年からこれがなくなります。瓢箪(ひょうたん)から駒です。空散の集団防除の代わりに、各農家が個別に防除するようになるでしょうが、単位面積当たりの農薬投入量は確実に減ると思われます。田んぼの水路に蛍が戻るまで先祖返りしてくれたら良いなと思います。



後記

 ゴールデンウィークに兼業農家の多いこの地区でも、一斉に田植えが行われ、夕方から水を得たカエルたちの合唱がはじまるようになりました。
 私の畑では、アブラムシ付きですが、ナスやピーマン、トマトなどの夏野菜の苗をGウィーク中にほとんど畑へと嫁がせました。育苗中、悪い虫がつなぬ様、丈夫に大きくなる様に世話をするのですから、苗が畑へ出ることは娘を嫁にやるようなものではないでしょうか。嫁がせた後、子ども(果実)を沢山産んでもらって、稼がせてもらうのだから、少し違うのでしょうか。なにはともあれ、少しほっとしました。これからは娘や孫たちが風通し良く暮らせる様、おじいちゃんは草とりに忙しくなります。

コバ

<< 其の弐拾壱 <<     >> 其の弐拾参 >>


お世話になっている 高橋農園さんへのリンクです。

しいたけオオクワ産卵飼育用ホダ木しいたけ栽培セットアイガモ米
プロフィールしいたけの話おもしろ科学安全な食べ物リンク集