先祖返り通信
2003年月7・8月合併号 其の弐拾四

今年の梅雨は今のところ雨が少ないようですが、気温が上がることが多く、ムワッとする日も多いように思います。野菜たちにも気持ちの良いものではなく、病気になりやすい環境です。皆さんも体調を崩さぬようにお過ごし下さい。


アリバダとタマちゃん

 先日東北地方で大きめの地震が起きた寸前、天井裏でネズミたちがバタバタ移動した、飼っているマナズがひっくり返った、など動物たちの異変をラジオ番組で伝えていた。畑でもカラスや多くの鳥たちが集団で騒がしく移動しているな、と見ているうちに、バケツをひっくり返したような夕立ちになったことがある。それらは動物たちの予知能力?それとも急激な天候の変化の兆しをどこかでみてとったから?
 畑で会う生き物の多くは、いつも危険や死と隣り合わせでいるように見える。生き物たちは死に物にならないように常に食べ物を探し、外敵に見つかれば逃げ、時に戦う。生き続けることは大変だ。死が身近にあるため、危険を察知する能力、環境の変化に敏感に反応する能力が不可欠になるのだろう。

 中米コスタリカの浜辺には、毎年決まった時期に沢山のウミガメがペルー沖から産卵をしに来る。それをアリバダという。それがある年、ウミガメがほとんどやって来なかった。研究者はペルー沖の海面温度の下がるラ・ニーニャ現象がその年におきていて、海中温度の変化を目安に移動しているウミガメが航路を見失ったため、、または近年の温暖化が影響しているのでは、との報告を出した。その年コスタリカの漁獲も減り、漁民は嘆いた。
 今年日の出ずる国の汚れた川に一頭のゴマフアザラシが現れ「タマちゃん」の愛称を得、NHKも連日報道する人気者になった。またその国の首都を流れる小さな川に、ボラの大群が遡上したことがニュースになった。「タマちゃん、カワイイ!!」「この川もきれいになったからね。」いやはや平和である。
 自然というのは基本的に大いなるワンパターンの繰り返しのはずであり、そのパターンからはずれたことが起きると昔の人々は多分畏れを感じていたのではないか。そして生き続けるために、その自然の異変から他の動物同様、何らかのメッセージを得ていたのではないだろうか。良いことも悪いことも、全てのことに起こる「前ぶれ」「前兆」を読み取る能力が今より高かったのではないか。
 携帯電話をどにでも持ち歩く人の理由のひとつに「家族の万が一の時にすぐに連絡がとれるから」と言うことをよく聞く。もっともな意見だ。でも携帯電話で「繋がっている」安心を得、その代わりに気持ちの繋がりや「虫の知らせ」という能力を手放してしまっているのではないだろうか。

 人工透析を続けると、腎臓は透析なしには機能しなくなる。糖尿病でインシュリン注射を常用していると膵臓機能の衰退は加速する。腎臓病に透析、糖尿病にインシュリン注射、現代医学とそれを信じるほとんどの人は、それらは不可分のものと考える。確かに症状が重くなってからは必要かもしれないけど、食生活を始めとする生活全般を見直すことで、自然治癒力を上げ、それらの病気を改善している人も多い。
 オイラたちも生き物だからできるだけ生き続けたい。今の便利な機械や道具が使えるうちは良いけど、何らかの理由でそれらが使えなくなった時に、失った生きるために本来人にも備わっていた力は、すぐに甦るのだろうか。
 オイラたちはアリバダの異変やタマちゃんの出現から何かを読み、感じ取るべきだろうに。「タマちゃん、カワイイ!」より「あれ、食べたら旨いのかな?」の方がまだましのように思う。


今後出るであろう野菜たち

 6月に少しずつ出始めたキュウリやナス、ピーマンなどの夏野菜がセットの中心を占めてくるようになります。多くの方が期待しているトマトはビニールを使った雨除け栽培をしないので、梅雨時の天候によっては、病気が拡がったり、急激な水分の変化などで割れがでたりと露地栽培では非常に難しい作物の代表です。今年は病気や割れに比較的強い中玉やミニトマトを中心に作ったり、他にも良いと言われるものをできるだけ取り入れていますので、6月下旬現在、病気の出始めている所もありますが、去年よりは少し状況が良いようです。細長いトマトが入っているようでしたら、加工用トマトですので、煮込みや炒め物にお使い下さい(生食もできるとは聞いていますが)。

 今年水ナスをつくりました。名の通り水分が多く、加熱するより浅漬けや塩もみしてサラダ感覚で食べるのが良いみたいです。普通のナスとの見分け方がつかないので、宅急便の場合にはどこかに明記しておきます。宅配の方が留守にする場合、連絡ノートを忘れずに出しておいて下さい。
 その他、セットに入ってきそうな野菜に、モロヘイヤ、エゴマの葉(焼き肉やごはんにはさんで)、シソの葉、丘ひじき(茹ですぎに注意)、エンツァイ(空芯菜、炒め物に適)、バジル、若瓜、とうもろこし(ベビーコーンから)、夏ネギ、8月に入ってからオクラ、マクワウリ、スイカ、そしてまた葉人参……。

 中米にいた時食べたピピアンという野菜の種をもらって蒔きました。キュウリと冬瓜の合いの子のような野菜で、サラダでも食べましたが、スープや炒め物で食べた方が美味しかった記憶があります。種取りのつもりで作りましたが、沢山成るようでしたら、皆さんも食べてみて下さい。



お知らせ

 今夏もお中元に野菜セットはいかがでしょう。料金は2000円プラス送料です。お申し込みをお待ちしております。
 夏至を過ぎても、日没時刻はまだ遅くなり、除草作業をはじめ、畑仕事が一番忙しい体力的にもきつい季節を迎えます。睡眠時間確保のため、去年同様8月の通信はお休みにさせてもらう予定です。ご了承願います。
 協賛会員の方への夏野菜セットの発送は8月のお盆前後になる予定です。その時期にご不在などのご都合がありましたら、お知らせ下さい。


今月の先祖返り

 この通信を読んで私がまるで世捨て人か仙人のような暮らしをしているように言う人がいます。通信の中で携帯電話をやたらやり玉に挙げているようにとらわれがちですが、私の言う「先祖返り」は、世を捨てることでも、現代文明の拒否でもありません。今現在使っているものは、携帯電話でも何でも、ありがたく大切に使ったらよいのです。ただ短いサイクルで新商品に買い替えたりするのはもう止めたら良いのでは、とは思っています。
 私たち、そして未来の世代が生き続けるためには、少し前の時代にそのヒントがあるのではないかと考え、日々を過ごし、通信を書いています。懐古主義というのでもありません。まあ、いまだ考えも行動も定まらず、迷うことばかりです。
 皆さんの率直なご意見をお聞かせ願えれば幸いです。



後記

 この前ノーベル賞をとった二人のどっちかが「日本は減点主義だから云々」と言っていました。なるほどなと思いました。セットに入ったすべての野菜が勢いの良い旬真っ最中のものばかり、ということはまずありません。終盤に差しかかった野菜でも手をかければ「食べもの」として「錬金」できると思われる野菜も入ります。そのような野菜はサービスのつもりで入れているのですが、減点の対象とされてしまいます。それはスーパーに「商品」として並ぶようなものではないかもそれませんが「食べもの」として見、年間を通じたトータルで評価していただけると嬉しいです。
 「もったいない」、「面倒くさい」感覚を大切に「錬金」しよう、など当初からお伝えしていることを、ここに繰り返させていただきます。
 しかし「食べもの」として錬金のしようのないものばかり入っていると思われましたら、どうぞご遠慮なくご指摘下さい。お願いします。

 

コバ

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