先祖返り通信
2003年月10月号 其の弐拾六

 今年は初夏、秋、真夏、そとて晩秋のような季節の移り変わりでした。秋冬野菜の種蒔き、苗の植え付けが重なる9月の秋雨シーズンには、一滴の雨も落ちず、私の涙で畑を湿らそうかと思ったほどでした。やるだけやってどうなっても、それはなるようにしかならんのさ、という程度のあきらめを覚えた百姓3年生です。


ポップコーンをほおばって

 今年も白と赤(ブルー)のポップコーンを収穫した。この手の保存の効く野菜は、春と秋のセット内容の淋しくなる端境期に重宝する。しかし会員にはあまり評判が良くないようだ。オイラの家では友達と飲む時は、酔いがまわる前にたいていポップコーンを作る。鍋の中でポンポン弾けるのは宴の座興にもなる。
 セットに入る野菜のほとんどが生育途上の幼少年期で、オイラの手で畑から連れ去られたものだ。本当はもっと畑に居続けて、種を作り、それを落とし次の命へと引き継ぎたいのに。
例外的にカボチャやトマトのように実を完熟させてから収穫される野菜の中に、ポップコーンも入る。それらの野菜に含まれる種を取り出して蒔けば芽が出て増殖する。アメリカ先住民はとうもろこしでも完熟させて固くなってから粉に挽いたりして食べるという。未熟果で食べるより、体の力になることを本能的にわかっているからだろう。
 ポップコーンを食べるには、実(種)をはずし、油をしいた鍋に蓋をして、火にかけながら爆け終わるまで、鍋を振り続けなければならない。面倒くさい。ポップコーンなんか100円で大袋が買えちゃう。簡単。

 オイラは思う。簡単に喰っちゃいかん!と。面倒くさいと思うことも、簡単なことと比較するから、面倒くさいんだ。実は大して面倒くさくない。それどころか楽しいよ。鍋の中でポンポンと弾ける感覚、蓋を開ける時の期待。実ははずしたり、鍋を振ったりするのを、食べる主体の子供やお父さんに手伝ってもらうのも良い。子供の手伝いの中で、食材に近くで接すること、包丁などの刃物を使うことを通じて、子供の感性の中に「食べもの」が定着するように思う。袋を開けるだけ、チンするだけ、では身につかない。  外食機会の増加、冷凍・インスタント食品の横行などの現在の便利にが「食べもの」を「べもの」「えさ」に変えてしまったような気がしてないない。口に入るまでの時間的な距離があまりにも短く、その食べものが口に入るまでにたどってきた過程を感じることができない。あまりにも簡単に、そして安く食べることができるので、いとも簡単に食べ残し、ゴミにする。世界には肥満人口と同じ飢餓人口があるという。傲慢な豊かさ。余分に食べたらダイエット、ダイエット。食い改めよ!

 簡単で便利な袋の中には、様々な食品添加物が使われ、その原料に遺伝子組み換え食品が使われている可能性が高い。現代の日本人は簡単や便利をおかずに、口や皮膚から一日にどんぶり約1杯分の合成化学物質を摂っているという。そのどれもが安全性は確認されているらしい。しかし期限付きの動物実験によるデータからのものであり、長期的、複合的に摂ったケースは、現在大々的な人体実験の最中だ。いくら便利で進歩した世の中になっても、依然人の体は天然もののまま。そこへ人工の不自然な化学物質を摂り続けたらどうなるか。アトピーなどの各種アレルギーは体への異物に対する拒絶・排泄反応でもある。アレルギーという体の中からの悲鳴を合成された薬で体の中へ押し戻す。問題の先送り。目先を取り繕うために借金をし続けるこの国と同じ。その政府のやり方を多くの人が何となく不安に思っているだろうけど、大きな反発はしない。その国は国民一人一人が集まってできているもの。その一人一人の生き方の集合体。ならば今の国政は必然だろう。赤信号はみんなで渡れば怖くない!のか?じゃあ、どうすれば良いのだろう???
 まずはふくろの味からおふくろの味に戻った方が良いよなあ、とポップコーンをほおばりながら思った。


今後出るであろう野菜たち

 里芋、そしてさつまいもを掘り始めます。里芋の茎(ずいき)がセットに入っていたら、薄皮をむき、した茹でして(茹で過ぎ注意)、あく抜きしてから使ってください。
 各種大根も少しずつ成長しています。中国大根を2種類蒔きました。カブ型で中が赤い大根、短径で中が緑色の大根。おろしや浅漬けなどできれいな自然の色を楽しんで下さい。落花生は塩茹でが良いでしょう。それとポップコーンは洗うと爆けません。念の為。



今月の先祖返り

 私は自分でご飯を炊く時、圧力鍋で玄米を炊きます。江戸時代以前は玄米食でした。白米食が普及し始めると「江戸患い(脚気)」がはやり出しました。精米する時に除いた糖や胚芽に含まれるビタミンBの不足が原因。玄米にはビタミンB以外にも若返りビタミンといわれるEや鉄分などの栄養分が含まれ、その他食物繊維も豊富で便通が確実に良くなり、農薬や化学物質の排泄を促すフィチン酸も含まれているという。そなん小難しい面を見なくても「糖」と「粕」という字をみれば一目瞭然でしょうか?また白米は畑に蒔いても芽は決して出ません。玄米はポップコーン同様、適時に蒔けば芽が出る生命力の高い食べものです。
 玄米は固くてぼそぼそのイメージがありましたが、圧のしっかりかかる圧力鍋(私は平和アルミ製作所の圧力鍋と土の内鍋〜オーサワジャパンのカムカム鍋〜を併用)や土鍋で炊けばふっくらモチモチして美味しい、白米に比べて腹持ちが断然良く、噛む回数も必然的に増え、唾液の分泌も促されれます。
 白米食からいきなり玄米に変えるのではなく、胚芽米や半搗き米、白米に雑穀を少量混ぜて炊くことなどから始めてはいかがでしょうか。



後記

 高校の野球部時代、各部員が年頭に「レギュラー獲得」、「全力疾走」、「一球入魂」などの年間目標を書いて部室に貼りました。どれもが前向きで立派な目標でした。ある日の練習中、覇気がなかったのか、監督が部員を集めて「お前たちは部室に立派な目標を掲げた。良いことを言うだけ言って、それに向かって努力しない者を偽善者という。今のお前達はどうなんだ!」と一喝しました。名指しされて言われたわけではなかったのですが、明らかに私も偽善者の一人でした。自分ではどんな目標を書いたのかさえ覚えていなかったのですから。
 その時以来「偽善者」という言葉が怖くて仕方ありません。それは自分が一番良く自分の偽善性をわかっているかたらど思います。この通信を書く度に、また書いてしまった、とあの日のグランドを思い出しています。でも私の臆病さが私を少しずつ前に進めてくれているとも思います。皆さんも赤信号を渡っていると感じたら、少しずつさがって(先祖返り)みて下さい。後ろへ前進とはちょっと厄介ですかね。
 最後に19日の収穫の集いもお忘れなく。事前に参加人数を教えて下さい。尚、当日の汁ものつくりのお手伝い募集します。まな板、包丁持参していただけると助かります。

コバ

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