先祖返り通信
2004年月1月号 其の弐拾九



生きたいんだ!

  「勝ちたいんや!」と星野さんが吠えて、18年も優勝できずにいた阪神が去年のセリーグのペナントを制した(ちなみに、オイラは巨人ファン)。本当に勝ちたい!という高まった気持ちの集まりが、チームの力を大きくした結果だろう。

畑での営みの中では、「生きたいんだ!」という声にならない声が所々から聞こえてくる。人とペット動物以外の生きものは、いつでも食べ物を探すために動きまわっている。繁殖期になると自分の存在を残すために異性を必死に探し求める。天敵を避け、見つかれば食べられないように逃げ、闘う。「生きたいんだ!生き続けたいんだ!」
キャベツがレース状に食べられる。ヨトウムシ、アオムシだ。玉ねぎが地際で倒される。ネキリムシだ。そんな時オイラは、「虫見」といわれる作業でその虫たちを見つけ、引きずり出して殺していた。虫たちは身をよじり、指先から逃げようとする。
「生きたいんだ!」を「有機農業を続けたい!」が潰していた。潰す、殺す行為を繰り返した時に残る感触が、「生きたいんだ!」そして「いのち」の持つ意味、食べものの大切さをオイラに強く意識させた。

以前書いた中米ニカラグアのウィッキーやそこで出会った多くの子どもたちの目は本当にキラキラと輝いて見えた。数年前の内戦で肉親を殺されたり戦火の中を必死に逃げ隠れしたことのある子どもも多い。オイラのいた当時でも一日三度の食事をとれない子どもも少なくなかった。それなのに、いや、それだから、かもしれない。絶望的な顔をしていたであろう戦時を生き延び、少し位のひもじさなど、ものともせず、好きな野球が少しでもできるという幸せにきらめいていたのかもしれない。

人を一度叩くと書いて「命」。人は叩かれるような経験を経て、「いのち」の意味を知るのかもしれない。インターネットを見ていたら、人を殺したくなって妹を鉄棒で殴った兄がいた。知り合ったばかりの幼児をデパートから突き落とした少年がいた。
去年の自殺者は3万人を超えた。これらの一見理解不能の事件、事例の陰に戦争が二世代以上遠のいたり、叩かれることの少ない今の日本社会の歪みを見ることができないだろうか。だから、戦争だ、体罰だ、とは思わない。しかし、人だって生きものだ。生き続けるためには、どんな状況下でも、生きていること、いのちを実感することが必要なのではないだろうか。何のために生きているのだろう、いのちを感じることができない、が他人や自分に刃を向けさせているのではないだろうか。「命」を実感するための暴走行為だろう。テレビゲームなどで体験する仮想現実(バーチャルリアリティー)でのフラストレーションも、この暴走を助長しているのではないか。

外へ出て出会う鳥や虫、そして植物をみていれば、いかに生き続けることが大変なのかがわかる。一方、便利な機械だ、至れりつくせりのサービスだ、で包まれると生きる大変さを感じられなくなると思う。それらを少しずつでも手放し、自分の足で歩き、自分の手を使って動けば、戦争、体罰など極端に走らず、「命」を感じることができると思うんだが。
「勝ちたいんや!」でダメ虎は優勝した。「生きたいんだ!」という高まった気持ちが集まれば、オイラたちに何をもたらしてくれるのだろう。
去年の秋くらいからの虫見では、オイラは、捕らえた虫を潰さず空き缶に入れて別の場所へ放すようになった。「やさしくなった」わけではない。「生きたいんだ!」を少しだけ身にしみて、理解したのだと思う。


今後出るであろう野菜たち

  ほうれん草、小松菜(カブツ菜)、からし菜、高菜、かつを菜、チンゲンサイ、チヂミ菜、タァサイ、白菜、筍白才、水菜(壬生菜・京菜)、キャベツ、芽キャベツ、長ネギ、人参、大根、聖護院大根(カブラ)、小カブ、ゴボウ、山芋、ジャガイモ、サトイモ、サツマイモ(白サツマ含)、カボチャ、冬瓜、ヤーコンの中から10種類前後でセットをつくります。
正月三ヶ日は、ここ数年恒例となってしまった独身男友達との(さみしい)飲み正月でした。
普段は収穫した野菜を日を置かず、調理していますが、正月休みの間は畑に入らないので、年末収穫した野菜を主体としたおせちを酒の肴に食べ続けました。大晦日に、ゴボウ・人参・ヤーコンのきんぴら、カボチャと黒豆の煮つけ、八ツ頭・人参・レンコンの炒め煮、黒豆煮、大根と人参のなます、刻んだ長ネギと味噌を混ぜ合わせただけのネギ味噌を多目につくり、カブラと冬瓜を主体とした汁を大鍋に作りました。
大晦日に汁へそばを、正月にはモチや水菜などの青菜を入れて雑煮にしました。このおせちと雑煮の他は、米も炊かず、穀物は、モチと焼酎以外は、里芋を蒸かして、ねぎ味噌をつけて食べました。
ほうれん草などの青菜は、早めにお浸しにしました。小松菜などは、塩漬けにしておいても良かったと思います。普段、会員の方々に届けているセット野菜とのつき合い方の一つの参考になるかもしれませんので、紹介しました。普段の食卓とおせちは一緒には、できませんが、鮮度のある内に手をかけることは共通すると思います。


今月の先祖返り

  私は、風呂を沸かす時に、市販の入浴剤の代わりに干した大根葉、スギナなどの野草を布袋に入れて風呂に入れたり、びわ葉の煎じ汁などを入浴剤として使います。市販入浴剤のほとんどが香料、着色料、保湿剤などの人工的に合成された添加剤からできていて、温泉のような風呂を提供してくれます。このような風呂に入ることも気持ちよいですが、各種添加剤も皮膚から体内へ着実に入れています。安全性は道なんでしょう?

天然の入浴剤は、どれも体の芯から温めてくれ、干大根葉は、婦人病に、スギナやびわ葉は、皮膚病や肝腎病全般にも効用があります。この他にも、セイタカアワダチソウ(秋開花前)はアトピーに良かったり、ドクダミ、ヨモギなどの野草の他に、菖蒲、ゆず、柑橘類の皮を干したもの等々季節季節で自然は、入浴剤を提供してくれます。
これらは、自分で手と足を動かせば、ただで手に入るものばかりです。干大根葉は、一度くらいセットに入れることができると思いますので試してみてください。あとは、セルフサービスでお願いします。


後記

  2月21日(土)午後、野木町エニスホール(野木駅北へ徒歩15分)にて有機農業者と消費者、賛同者で作られた”有機農業ネットワークとちぎ”の定例総会が行われます。
当日、現参議院議員で環境分野などを重要視している”緑の会議”の代表の中村敦夫議員が講演会をします。議員は以前「木枯らし紋次郎」やニュースキャスターなど幅広くブラウン管でも活躍されました。
講演会はもとより、総会は有機農業の現状を理解し、有機農業的な暮らしを拡大する良い機会になると思います。講演会の前後に種苗交換会、懇親会も予定されています。県の内外を問わず、多くの方々のご参加をお待ちしています。

今年の通信でも私の実践(実験?)を通じて出てきたより具体的な健康、倹約、環境にやさしい先祖返りを紹介していけたらと思います。
市販の情報の多くには、企業のスポンサーがついていて、発信規制を受けることもあります。一方、私のスポンサーは皆さんであり、自然です。
今年も変わらぬご支援、ご指導をよろしくお願いします。

 

コバ

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